田舎の城跡のある山が子どもの頃の私の遊び場だったのですが、狐が祀られている神社がありました。鳥居の奥が薄暗くて怖いと感じてから、狛犬が狐になっている所は怖いものと思っていました。
数年前に違う神社を検索していて出てきたのが、奈良県大和郡山市にある『源九郎稲荷神社』のブログで狐さんが笑っている写真を見て、行きたいと思った稲荷神社です。
語り部・中川さんからお聞きした話も交えつつ、源九郎稲荷神社の歴史・見どころを記事にしました。
源九郎稲荷神社について
神社名の『源九郎』は狐さんの名前
『源九郎』とは、歌舞伎の演目『義経千本桜』に出てくる源九郎狐のことで、源義経が兄頼朝の兵から吉野へ逃れたとき、白狐が佐藤忠信に化け、義経と静御前を守り通しました。
義経に狐であることを見破られますが、この狐は静御前が持つ初音の鼓が狐の両親の皮でできていたことから、それを慕って佐藤忠信に化けていたことを話すと、義経は親を慕う狐に同情し、さらには自分たちを狐の神通力で守り通してくれたことに感謝し、自分の名である『源九郎』をこの狐に与えたことから、それが社名の由来になったと伝えられています
大和大納言・豊臣秀長が郡山城の鎮守として創建し、『大和の大和の源九郎さん、遊びましょ』と童謡も残っており、春に行われる大和郡山お城まつりでは、源九郎狐にちなみ、白狐面をつけた子ども行列が練り歩く『白狐渡御(とぎょ)』が行われます。
2024年大和郡山お城祭り
2024年3月24日(日)から4月7日(日)まで
「第63回大和郡山お城まつり 」が開催されます。
お城祭りの始まりは、昭和36年(1961年)当時の観光協会会長である広瀬元次郎さんが、城址の天守台や、そのまわりの石垣の中に多数の石仏・墓石が積込まれているのを知り、これらの石仏並びに城史有縁の諸霊を慰めることが、大和郡山市の発展につながるのではないかと、市民有志より浄財をあつめ、天守台を取り巻く「数珠くり法要」をしたのが始まりです。
初年度は5月5日子供の日でしたが、金魚品評会が明治40年(1907年)以来、『日本さくら名所100選』の史跡郡山城跡を彩る桜の開花時期に毎年開催されていたので、翌年より同じ時期に行う事になりました。
そのため、時代行列・白狐渡御・金魚品評会・名産品の即売などの、古い伝統と歴史のある様々な行事が、3月下旬から4月上旬に集中して開催されています。
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- 3月24日(日)奉告祭・数珠くり法要・女王卑弥呼交代
- 3月30日(土)第102回金魚品評会
- 3月31日(日)午後2時より時代行列、白狐渡御
- 4月7日(日)お城まつりコンサート
また、3月31日(日)には午前10時より大和郡山市の源九郎神社の例祭が行われ、午後2時から行われる時代行列・白狐渡御の為、大和郡山市役所周辺では交通規制がかかります。
金魚品評会は優雅で見ているだけでも癒されますが、購入する事もできます。
『日本さくら名所100選』の史跡郡山城跡を彩る桜
『日本さくら名所100選』の史跡郡山城跡を彩る桜は、天正13年(1585年)大納言豊臣秀長が姫路から郡山へ来られ、多武峰の談山神社を城北に遷座と共に、多武峰にあった桜(御殿桜と呼ばれていた)も城内に移したのがその始まりと伝えられています。
享保9年(1724年)柳澤吉里が、甲府より郡山城に来られ、桜樹の補植以来、毎年桜の開花時期には、藩士や町民達の楽しみであったといわれています。
2024年大和な雛まつり
令和6年2月24日(土)~3月3日(日)
大和郡山市の旧市街地を中心に、お雛様が展示される「大和な雛まつり」が開催されます。
源九郎稲荷神社も参加します。コーヒー、ハンドメイドのアクセサリーや小物、手作りの菓子、串こんにゃくも出店されるそうです。
地域の方々の愛で復興した神社
2010年~2015年までの間、宮司さんが在中されなかったため荒廃していた源九郎稲荷神社を復活させようと、とよさんが掃除を始められました。そして、中川さんご夫妻など地域住民の方々や、ボランティアの皆さんによる神社の復興活動が始まりました。
歌舞伎役者の市川猿之助さんから寄付をいただくなど、さまざまな活動のお蔭で在中される宮司さんが見つかり現在に至ります。
中川さんは語り部として神社の御由緒や伝説などを語られたり御朱印を書かれ、奥様も境内の花のお世話をされるなどして今もご夫婦で神社を守っておられます。
私が参拝している間も、地域の方々が進んで境内の掃除などをされている姿を目にしました。規模は小さな神社かもしれませんが、地域の方々からのとても大きな愛を感じる神社です。
語り部の中川さんからお聞きしたお話です
花の色は、夜になるとたくさんの小人が小さなバケツとハケを持って花びら1枚1枚に色を塗り、朝には花の色がついていると思うとワクワクしませんか?という話をしてくださいました。
数か月後、朝、昼、夜で色が変わる酔芙蓉の花は、何回も小人が花びらに色を塗っているのかと思うととても愛おしく思えました。
お時間があれば、社務所で中川さんにいろいろなお話を聞いてみてください。
稲荷神社の神様はウカノミタマ様
稲荷さん=狐さんと思っておられる方も多いですが、稲荷神社の神様はウカノミタマ様(ほとんど)で、狐さんは『眷属』という神様のお使いです。現代でいえば、社長がウカノミタマ様で、営業職が狐さんのような感じです。
源九郎稲荷神社では、ウカノミタマ様と源九郎稲荷大明神様をお祀りしています。
稲荷神社に限らず、神社に祀られている神様方は『来るもの拒まず、去る者は追わず』の無償の愛で、たくさんの参拝者の笑顔を見たいと頑張ってくださっているそうです。
『何でこんな事になるのだろうか?』と悩む事が起きた時には、自分が幸せになるために、私利私欲を願っていないかなど、今一度自分の行動を見直すきっかけにしています。
神社と名前はあるが、暗くてなんか嫌、近づきたくないなどと思う神社や、祠だけの小さな神社などは、そこには神様ではなく悪い動物霊が居座っている場合もあると聞いたので近づかない方がいいこともあるそうです。
狐さんが可愛い笑顔でお出迎え
源九郎稲荷神社の狐さんは宝珠(ほうじゅ)と巻物をそれぞれくわえながら笑っている珍しい狐さんで、『宝珠に触れば金持ちになり、巻物に触れば賢くなる』との言い伝えがあります。
巻物をくわえているのは『まきちゃん』
宝珠をくわえているのは『たまちゃん』
私が初めて参拝した時に、狐さんの呼び方を参拝されていた方が教えてくださり、それからは、『まきちゃん・たまちゃん』と声をかけながら撫でさせていただいてます。
まきちゃん・たまちゃんの笑顔につられて、見ている私も自然と笑顔になります。源九郎稲荷神社の狐さんは、またこの笑顔を見に来たいと思えました。
何回も参拝していたのに、源九郎稲荷神社の記事を書くと決め写真を撮りに来たこの日、たまちゃんの耳が欠けていることに初めて気づきました。
一日も早く欠けている耳がキレイな耳になりますように。
幻の團十郎朝顔などの花がたくさん見られる
源九郎稲荷神社では、市川團十郎さんが『暫(しばらく)』で用いられた法被の色に似ていることから、『團十郎朝顔』と名付けられた、えんじ色の朝顔が咲きます。
種を取るのが難しいようで、幻のアサガオともいわれている朝顔です。
境内には『皇帝ダリア』・『黒百合』・『酔芙蓉』・『紫宝』など季節ごとにたくさんの花を宮司さんがブログで紹介されています。
花が多いので、蝶・トンボなどの昆虫もたくさん見られますが、蚊も多いので虫よけ対策をして参拝に行ってください。
私は、なるべく色の濃い服は着ず、足首から下をアルコールで拭くようにするといいと聞いてからは、蚊に刺される回数がかなり減りましたのでオススメです。
歌舞伎役者さんも参拝されている
歌舞伎の演目『義経千本桜』に出てくる源九郎狐を演じられた、歌舞伎役者三代目・四代目市川猿之助さん、六代目中村勘九郎さん、二代目尾上右近さんは、この演目が無事に終わるよう、源九郎稲荷神社に参拝されています。
六代目中村勘九郎さんが襲名披露で記念植樹された『枝垂れ梅』・『枝垂れ桜』もあります。
枝垂れ梅
枝垂れ桜
他にも、人間国宝の人形浄瑠璃文楽座の人形遣いの桐松也竹勘十郎さん、日本今様謌舞楽会の智野莉慧さん、歌舞伎役者の二代目尾上松也さん、俳優の佐野岳さん、日本舞踊家兼ダンサーの花柳源九郎さんなども参拝されています。
鳴き龍が聞ける拝殿
賽銭箱の赤い印からまっすぐ数歩下がった場所で柏手を打つと、柏手の音が拝殿内に大きく響きます。これを『鳴き龍』と呼びます。
普通に柏手を打つより明らかに音が大きく、きれいに響いて鳥肌が立ちました。
源九郎稲荷神社で柏手を打つ際には、音の違いを楽しみながら『鳴き龍』の場所を探してみてください。
公共交通機関をオススメします
源九郎稲荷神社には駐車場がありませんので、近くのパーキングに止められるか、公共機関で行かれることをオススメします。
近隣のパーキング
近鉄郡山駅とJR郡山駅の間くらいにあり、どちらの駅からも徒歩約10分程度です。
近鉄郡山駅から源九郎稲荷神社
1番ホーム(ファミリーマート)側の改札を出たら、商店街をJR郡山駅に向かいまっすぐ歩くと大通り手前、右側に源九郎稲荷神社の看板があります。看板を右折してまっすぐ歩くと左側に神社があります。
JR郡山駅から源九郎稲荷神社
改札を出たら右(西出口)の階段を降り、踏切前の道を近鉄郡山駅に向かいまっすぐ歩き、大通りを渡るとすぐ左側に細い道があり、源九郎稲荷神社と看板があります。看板を左折してまっすぐ歩くと左側に神社があります。
大通り近くの曲がり角にある看板で、近鉄郡山駅からだと見つけやすいです。
看板を曲がり進むと道路にも書いてあります。
到着です。
周辺のトイレ
asmo大和郡山などの商業施設以外のトイレになります。
奈良県大和郡山市洞泉寺町15
源九郎稲荷神社
0743-55-3830
(午前10時~午後5時)
授与品(お神符・お守り・御朱印)の取り扱いについて
源九郎稲荷神社公式ホームページより抜粋しました。
授与品(お神符・お守り・御朱印)の取り扱いについて
最近、メルカリなどのフリマアプリやオークションサイトなどに、源九郎さん含め色々な神社やお寺のお守りなどが出品されていることが多々あります。
しかも高額で。売るも買うも個人の勝手だといえばそれまでですが
こういうものは基本的に
各神社やお寺は関与していない
↓
神様や仏様のご加護やご利益などは抜けている
ものと思っています。わざわざそのようなものを、お金を払ってまで買うべきかどうか、ポチる前にもう一度考えてください。
そして高額で売って不当に利益を得ようとしている者に、おいしい目をさせないように。
皆様のご協力、宜しくお願いします。
どうしても参拝が困難な方のためには、送付もされているそうなので、高額で購入をせず、神社お問い合わせしてみてください。
まとめ
- 神社名の源九郎は狐さんの名前
➡歌舞伎『義経千本桜』に出てくる、義経を助けた狐が義経からいただいた名前の源九郎が由来
- 地域の方々の愛で復興した神社
➡2010年~2015年まで宮司が在中されず荒れていた神社を、地域の方々が中心となって復興させた愛に溢れた神社
- 狐さんが可愛い笑顔でお出迎え
➡笑っている狐さんは珍しく、巻物をくわえた『まきちゃん』・宝珠をくわえた『たまちゃん』
- 稲荷神社の神様はウカノミタマ様
➡稲荷神社の神様はウカノミタマ様、狐さんは眷属。悪い出来事は自分を見つめ直すきっかけになる
- 幻の團十郎朝顔などの花がたくさん見られる
➡市川團十郎さんの用いた法被の色に似ている種を取るのが難しい朝顔以外にも、記念植樹された枝垂れ梅・枝垂れ桜など、四季折々の花がみられる
- 歌舞伎役者さんも参拝されている
➡源九郎狐を演じる際に三代目・四代目市川猿之助さん、六代目中村勘九郎さん、二代目尾上右近さんも参拝された
- 鳴き龍が聞ける拝殿
➡源九郎稲荷神社の拝殿内の、賽銭箱から数歩下がった場所で柏手を打つことで大きく響く鳴き龍が聞ける
- 公共交通機関をオススメします
➡駐車場がなく、パーキングに止めるか、JR郡山駅・近鉄郡山駅ともに徒歩約10分なので、参拝は公共交通機関をオススメします
最後まで読んでくださりありがとうございました。
怖い稲荷神社のイメージが、源九郎稲荷神社で怖くない稲荷神社になりますように。
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