春日大社で写真撮影していた私に、元観光ガイドの方が「もし、時間にゆとりがあれば、観光ガイドブックやスマホで調べて直行ではなく、駅などでもらえる地図を頼りに周りをキョロキョロ見ながら春日大社を歩いてほしいのです。」と声をかけてくださりました。
さらに「なぜここにこんな建物があるのか?なぜここだけ違うのか?などの違和感を感じ、もっともっと春日大社を知ってもらえたらと思います。」という春日大社への想いを語ってくださった、元観光のガイドの方から教えていただいた豆知識を紹介します。
人生と同じで、目的地までの決めた道を進むだけより、寄り道をして色々見たり感じたりして、春日大社を楽しんでいただけたらと思います。
春日大社ではペットを連れての参拝は禁止されています。
春日大社の歴史と見どころを含む豆知識
春日大社のなりたち
768年タケミカヅチノミコト様が、鹿島神宮より白鹿に乗られ御蓋山(ミカサヤマ)においでになり、第一殿タケミカヅチノミコト様、第二殿フツヌシノミコト様、第三殿アメノコヤネノミコト様、第四殿ヒメガミ様の本殿が建てられました。
1135年には、第三殿アメノコヤネノミコト様と第四殿ヒメガミ様のお子様であるアメノオシクモネノミコト様(若宮様)の神殿『若宮』が建てられました。『若宮』は、初めて個人の願いも聞き届けてくださった神社です。
国宝殿
国宝殿には、春日若宮おん祭の際、舞楽で演奏される国内最大級の『鼉太鼓(だだいこ)』や 、春日大社が所有する国宝354点及び重要文化財1482点を主に多数の文化財を所蔵し展示する美術館です。
もっと歴史を知りたい方や国宝を見られたい方は国宝殿へ行かれてみてはいかがでしょうか。
令和7年夏、春日大社国宝殿で開催の「究極の国宝 大鎧展」
色々とポストしていきますので #春日大社大鎧展 のアカウント(@Gorgeous_Armors )もぜひフォローお願いいたします。 pic.twitter.com/gqPHjU9ucZ
— 春日大社 kasugataisha shrine (@KASUGASHRINE) October 24, 2024
元ガイドさんから聞いた豆知識12選
1.春日大社は『遷宮(せんぐう)』ではなく『造替(ぞうたい)』
平成28年に『第六十年次式年造替』が行われた世界遺産『春日大社』ですが、60回を超えるのは『伊勢神宮』と『春日大社』のみだそうです。20年に1度の式年造替を60回と聞くだけで、壮大な歴史と時間の流れを感じます。
ちなみに伊勢神宮では、別の場所に新しく本殿を建て替えるので『遷宮(せんぐう)』、春日大社は、本殿を動かさず同じ場所に造り替えるため『造替(ぞうたい)』と呼び方が違い、平成30年には春日大社創建1250年を迎えました。
春日大社参拝企画・お知らせ
【秋夜の奈良旅2024】
春日大社 御本殿夜間特別参拝と万燈籠特別開催
2024/11/2(土)、11/9(土)、11/16(土)、11/23(土・祝)、11/30(土)
古都奈良の秋の夜を満喫できる「秋夜の奈良旅2024」が、世界遺産5社寺で開催されます。
春日大社では、朱色に輝く御本殿(国宝)で夜間特別参拝が行われるほか、御本社回廊内約1,000基の釣燈籠に浄火が灯される万燈籠が行われます。時間:17:30~20:00(17:00に一旦閉門。19:45受付終了)
特別参拝料:700円
※御朱印授与は20:00まで。
※参拝は予約不要秋夜の奈良旅2024 春日大社 国宝・御本殿夜間特別参拝と万燈籠特別開催 | 奈良市観光協会サイト「秋夜の奈良旅2024」期間中の毎週土曜日に、春日大社では、国宝・御本殿夜間特別参拝と万燈籠(まんとうろう)が特別に行われます。企画:奈良市観光協会
2.『祭』とは『祈る』こと
『祭』とはどんちゃん騒ぎをすることではなく『祈り』をささげることを言います。
春日大社では、朝夕の御饌祭(みけさい)をはじめ、春日祭、春日若宮おん祭など年間2200回の祭(祈り)が行われています。
毎月1・11・21日に旬祭(しゅんさい)という祭があります。
この祭は、900年間一度も欠かすことなく続いており、皇室の繁栄、国家・国民の平和と幸せ、世界の平和を祈る祭です。
毎月21日は一般の方も旬祭に参列でき、神職による神道講話『ためになる神職のお話』も体験できます。
毎年3月13日に行われている『春日大社の春日祭』は、国家の安泰と国民の繁栄を祈る祭りですが、非公開の為参列はできません。
3/8〜3/13 春日大社御本殿前特別参拝(初穂料700円)受付の停止、当日3/13は 御本社回廊内(南門より先)へは入れない為、御札・御守の授与は御間道近くの仮設授与所にて行っています。
春日祭は三勅祭(さんちょくさい)の1つで、(『上賀茂神社・下鴨神社の賀茂祭(葵祭)』・『石清水八幡宮の石清水祭』・『春日大社の春日祭』)849年に始まったと伝えられています。(勅祭とは天皇陛下のお使いである勅使(ちょくし)を迎えて行われる祭りです。)
春日若宮おん祭
疫病の蔓延を治めるため1136年から始まったのが『春日若宮おん祭』で、毎年12月15日~18日に行われます。17日は、若宮様を『若宮社』から御旅所へ遷し神楽などを奉納します。
この日、奈良市の公立の小・中学校の授業は2時間で終わり、12時からのお渡り式への参加や、歴史の授業の一環として見に行きます。
一度も途絶えることなく2023年には888回を迎えました。国の重要無形民俗文化財にも指定されている、日本最古の芸能の祭りです。
2024年春日若宮おん祭桟敷席販売
春日若宮おん祭特別桟敷席(登大路園地桟敷席)
2,000円(観覧席代含む)※大人、こども同額です。
春日若宮おん祭特別桟敷席(松の下式桟敷席/南席)
4,500円(観覧席代含む)※大人、こども同額です。
春日若宮おん祭特別桟敷席(松の下式桟敷席/北席)
4,500円(観覧席代含む)※大人、こども同額です。
春日若宮おん祭特別桟敷席(お旅所前桟敷席)
10,000円(観覧席代含む)※大人、こども同額です。
春日若宮おん祭の変更などは、春日大社ホームページ・Twitter・Instagramでご確認お願いいたします。
3.春日大社の境内案内図は東が上になっている
地図は北を上にして載せることが多いのですが、春日大社は東西に長いため境内案内図は東が上になっています。奈良公園周辺では『右に山があると東』前が北、後ろが南、左が西)と覚えておくといいと話されていました。
4.通り過ぎる方が多い祓戸神社
現在も、春日祭の勅使はまずこの祓戸神社でお祓いの儀式を済まされるほか、6月30日の『夏越大祓式』と12月31日の『年越大祓式』も行われるほど罪穢れを祓い落とすには欠かせない神社です。
春日大社を参拝される際には手水舎で身を清めた後、祓戸神社に行かずそのまま進む方が多いそうなので、ここでしっかり日頃の罪穢れを落としてから本殿に進んでいただけたらと思います。
5.桂昌殿は桂昌院が奉納
『桂昌殿』は、御祈祷所からご本殿に向かうと手水舎左側の三葉葵紋のある建物です。五代将軍徳川綱吉の生母である桂昌院が、春日大社を参拝する際に使う目的で自ら奉納されましたが、一度も使うことなく亡くなられたそうです。
また春日大社中門近く(特別参拝区域)には徳川家の三葉葵紋と本庄家の九ツ目結紋の配された灯籠の奉納をされています。
『桂昌殿』は奈良市の指定文化財になっており、今の貴重な文化財を目にすることができているのは、桂昌院が社寺へ復興の支援をされたお蔭だそうです。
6.石燈籠の火袋が木でできている
春日大社内には約2000基の石燈籠が並んでいます。一般的にろうそくを置く火袋は石製ですが、春日大社には檜製(格子状の画像)の珍しい火袋もあちこちで見ることができます。
黄金色に輝く三葉葵紋のある石燈籠は徳川家康が徳川頼宣のために寄進した石燈籠です。頼宣は御三家の1つ『紀伊徳川家』の祖となり、8代将軍徳川吉宗は孫にあたります。
檜製の火袋には82個もの金色の飾金具が使われ、春日大社で飾金具があしらわれているものはこれしかないので、近くでじっくり見てほしいと話されていました。
春日大社本殿から若宮社に繋がる御間道にある燈籠は、鎌倉時代後期から奉納された燈籠のように復元されています。
7.慶賀門は藤原氏の参入門
桂昌殿右手に鮮やかな朱色の廻廊にある3つの門は、左から内侍門・清浄門・右が慶賀門になります。慶賀門は、昔から藤原氏の正式な参入門とされ、春日祭での勅使が藤原氏であればこの門から入られます。御蓋山が正面に見える慶賀門をくぐった先には『砂ずりの藤』があります。
慶賀門のみ天井が格子状ですが、上を見上げて天井を見ている人は少ないそうなので、廻廊を通られる際は上を見比べてみてください。
8.剣先道の『剣先は踏んではいけない』言い伝え
手水舎から本殿へ向かう広い参道から斜めに分かれている道は『剣先道』と言われています。藤原氏専用の参道とされており、本殿までの近道になっています。春日祭で藤原氏はこの道を通り慶賀門をくぐります。
剣先道には昔から『剣先には悪霊が封じ込められているので踏んではならない』という言い伝えがあります。元ガイドさんは、真ん中は神様が通られるので端を通りなさいという意味ではないかな?と言われていました。
9.768年以前に春日の地を守っておられた神様
768年にタケミカヅチノミコト様が来られるまでは、神様はおられなかったのか?と考えたことはありますか?
768年以前は、榎本神社にお祀りされているサルタヒコノミコト様が春日の地主の神としてこの地を守っておられました。一時、奈良県桜井市の阿部山に遷られましたが、935年に再びこの場所に戻られました。
榎本神社は慶賀門先の角を曲がった(南門からは南門左)廻廊にある小さな神社のため通り過ぎられる方が多いそうです。お社の朱色と周りの木々の緑の色合いや、鮮やかな色彩に彩られた彫刻が目を引きます。
昔から先ず榎本さんを拝んでから御本社や若宮へ向かうことが参拝の順序となっています。
榎本神社の横(写真右、南門側)には休憩場所もありますので、春日大社以前からこの地を守ってくださっていた榎本神社を参拝してみてください。
10.禰宜道(ねぎみち)は神官が通う道
『禰宜道』とはかつての神官たちが春日大社へ通った道で、神官のことを禰宜(ねぎ)と呼ぶことから禰宜道と言われる森の中を通る道です。
- 上の禰宜道➡夫婦大国社の右側にのびる道から金龍神社を通り、高畑町方面に出る道(一番高いところを通るので『上の禰宜道』と言われる)
- 中の禰宜道➡二の鳥居と車舎の間にあり、新薬師寺近くに出る道(元ガイドさんお気に入りの道)
- 下の禰宜道➡車舎と鹿せんべいを売っているお店の間にあり、志賀直哉旧家近くに出る道で『ささやきの小径(こみち)』とも呼ばれている道
鹿が食べない外来種などは切ったりされるそうですが、それ以外は原始林に近い状態で別世界です。この日も汗が止まらないくらいの暑い日でしたが、禰宜道にいる間は茂った木々のお蔭で涼しく過ごせました。
樹齢千年くらいの杉・根がむき出しで傾いていているが葉が青々としている木・枯れている木の横で新しい芽が出ていたりと、木々が与えられた環境で必死に生きている姿に、私も頑張ろうとエネルギーをもらえました。
どの禰宜道にも見どころがたくさんあります。あまり人も鹿もほとんどいないそうなので、お気に入りの禰宜道で癒しのスポットを見つけてください。
11.春日大明神の石燈籠『一晩で3つ以上見つけると億万長者になれる』言い伝え
春日大社には約2000基の石燈籠があります。『春日大明神』と書かれた灯籠はわずか15基のため、一晩のうちに3基以上を見つけると億万長者になるという言い伝えもあります。
「あるエリアに集まっている場所はあるが秘密にしておきますのでゆっくり探してください」と言われました。字が薄くしっかり見ないと分からないものもありますので、時間がある方はぜひ探してみてください。
12.奈良公園周辺はトイレがたくさんある
JR奈良駅隣や近鉄奈良駅1階にある観光案内所や、三条通りの観光センターなどにトイレの書かれている奈良公園周辺の地図も置いてあり、奈良県のホームページにはトイレだけでなく、ウォークマップや所要時間なども載っていますので参考にしてください。奈良公園周辺には飲食店が入っている商業施設などにもトイレはありますので、トイレの心配はしなくても大丈夫だと話されています。
春日大社境内案内図(トイレ)
今、おられる辺り(御本社(大宮)から紀伊神社や、一之鳥居から御本社(大宮))などをクリックすると詳しい地図が見られます。
奈良公園周辺のトイレ案内
番外編
あちこちキョロキョロして歩くといろんな発見があります。
5月5日に屋根にのせられた菖蒲とヨモギは、しばらくたってもお社によっては残っているところもありました。
【石燈籠】「鹿の……尻⁉︎」
境内にある、とある石燈籠の火袋(ひぶくろの)の模様です。
鹿がデザインされた燈籠はたくさんありますが、鹿の“お尻”はこの燈籠だけだと思います。(鹿のお尻に特別な思いが…?)#春日大社#石燈籠#鹿#お尻 pic.twitter.com/M4CBu7XXBt— 春日大社 kasugataisha shrine (@KASUGASHRINE) September 18, 2019
石製の火袋にも鹿の彫刻のなど何種類もあり、春日大社Twitterでは鹿のお尻の火袋が紹介されていますので、ぜひとも探して見てください。
特別参拝区域(御本殿特別参拝の拝観料700円必要)ですが、ハート模様の石を見つけることができました。
春日大社の所在地、拝観時間、アクセス
・春日大社 奈良県奈良市春日野町160
TEL:0742‐22-7788 FAX:0742-27-2114
・御本殿参拝時間
3月~10月 6:30~17:30
11月~2月 7:00~17:00
※お札・御守り・御朱印等は通年9:00〜閉門迄
・特別参拝 一人700円 9時~16時
特別参拝除外日
毎月1日、11日、成人の日、21日、節分の日、2月17日、2月23日、3月8日~3月13日、3月14日、3月15日、春分の日、4月3日、5月5日、5月10日、5月第3金曜日、8月7日、8月15日、秋分の日、10月9日、11月3日、11月23日、12月16日の午後、12月17日の午前中、12月20日~1月7日※祭典の都合により時間が前後したり、上記以外の臨時祭典等により特別参拝できない場合があります。
基本情報 | 春日大社基本情報 開門時間御本社(大宮)参拝所3月~10月 6:30~17:30 11月~2月 7:00~17:00
車でアクセス
名神高速道「京都南IC」から京奈和自動車道経由約60分
京奈和自動車道「木津IC」から南へ約7km
第2阪奈有料道路「宝来IC」から東へ約8km
西名阪自動車道「天理IC」からR169経由北へ約10km
・駐車場
3月~10月 7:30~17:00
11月~2月 7:30~16:00
・駐車料金
普通車1500円
バイク500円
バス4000円
人力車500円
車の駐車料金を払った際にもらう領収書ですが、上の祈祷証の欄に記入し、春日大社本殿のお守りなどを置いている窓口に出すと、下のような封筒に入った交通安全のステッカーをいただく事ができますので、春日大社に来られた記念にもらわれてはいかがでしょうか。