春日大社内で誕生され若宮社にお祀りされているた御子神様は、「若宮様」と呼ばれ親しまれています。
この記事は、摂社若宮社の歴史・見どころ・豆知識について書いています。
春日大社の摂社若宮社について
若宮社の歴史・見所・豆知識について
1. 若宮様はアメノオシクモネノミコト様
春日大社内の若宮社に祀られている若宮様とは、1003年に誕生されたアメノオシクモネノミコト様のことで、御子神様ですが1000歳をこえておられます。
本殿の第三殿アメノコヤネノミコト様と第四殿ヒメガミ様の御子神様で水にまつわる神様として、5番目の神様として、ヒメガミ様と一緒にお祀りされていました。
しかし、気候不順による凶作や疫病の蔓延のために苦しんでいる人々を救うため、当時の関白・藤原忠通が1135年2月27日に春日大社の御子神(若宮)様を現在の位置に社殿を造り、お祀りされたのが若宮社の始まりです。
若宮社の大楠
実は3本の木がひとつに合わさったという説や、神功皇后のお手植えだという伝説もあります。
2. 日本最古の神楽殿とされている
若宮社は、人々の生命力を増進させ、正しい知恵を御授けくださる神様として知られる日本を代表する神社であり、個人の願いをも聞いてくださった初めての神社としても有名です。
若宮社の手前にある石畳を敷いた建物は拝舎(はいのや)といい、祭典の際に神職が座る場所になります。
その背後にある横長の建物は、北(向かって右)より3間を御廊
次の1間を細殿(ほそどの)
、南側6間を神楽殿(かぐらでん)
といい、3つの建物が1棟に合わさっており、祭典の時は、この神楽殿で御巫による御神楽が奉納されます。
個人の祈願所として初めて御巫神楽が奉納
日本最古の神楽殿として重要文化財に指定され、奉納された御巫神楽は「社伝神楽」として継承されています。
3. 春日若宮おん祭の始まりとは
気候不順による凶作や疫病の蔓延のために苦しんでいる人々を救うため、当時の関白・藤原忠通が1135年2月27日に現在の位置に若宮様をお祀りされた翌年(1136年)9月17日、春日野の御旅所に若宮様をお迎えして丁重に祭礼を奉仕したのが『おん祭』の始まりです。
1136年から始まった『春日若宮おん祭』(毎年12月15日~18日)は、長雨・洪水も治まり晴天が続いたことで、五穀豊穣・万民安楽を祈り大和一国を挙げて毎年盛大に執り行われるようになりました。
奈良市最大のお祭と言われるだけあり、毎年12月17日は奈良市公立の幼稚園・小・中学校は約2時間で終わり、子ども達は12時から始まるおん祭のお渡り式に参勤したり、歴史の勉強も兼ねて見学に行ったりしています。
水にまつわる神様だからなのか、12月17日は寒くなると言われており、確かに曇りや雨・雪がパラパラしている日の方が多いと記憶しています。
春日若宮おん祭交通規制について
【春日若宮おん祭《お渡り式》交通規制のお知らせ】12月17日正午からのお渡り式に伴い下記の通り交通規制が行われますので、ご協力をお願いいたします。
行列は奈良県庁前を出発し近鉄奈良駅前→JR奈良駅前→三条通り→御旅所まで進みます。#春日大社 #春日若宮 #第887回春日若宮おん祭 #お渡り式 pic.twitter.com/Kk86a4dOCi— 春日大社 kasugataisha shrine (@KASUGASHRINE) December 3, 2022
コロナで規模は縮小されましたが、一度も途絶えることなく2023年には888回を迎えました。
4. 奉納される神事は国の重要文化財
神前に奉納される数々の神事芸能は国の重要無形民俗文化財にも指定されており、この祭には1,000人に及ぶ人々の参勤奉仕、50頭の馬も用意され、とても賑わいます。
春日若宮おん祭の中心的な祭典がここで行われ、お旅所中央の芝舞台は芝居の語源ともいわれています。
奥にある建物は、若宮おん祭の御用に充てられる建物で、明治初年に興福寺の旧大乗院の建物を移設したもので、平成19年に全面的に改築され、講演会や文化行事にも使用されています。
影向之松は能舞台の絵の松
一之鳥居を入った参道南側にあるクロマツの前で「松の下式」が行われます。
5. 燈籠奉納数は日本一
若宮様に感謝して燈籠奉納が始まり、若宮社と本殿とを結ぶ御間道(おあいみち)の両脇には鎌倉時代後半より石燈籠が奉納され、室町時代の全国の神社仏閣に奉納された燈籠の3分の2が春日大社にあります。この石燈籠は檜でできた火袋が特徴的で珍しいと言われています。
御神前・御仏前に供える燈籠が、御本殿・御本堂へと続く参道に並べる習慣として全国へ広がっていき、春日大社の境内全域に奉納された約3,000基もの燈籠は日本一です。
6. 若宮社のご神宝が戻された
若宮社には、平安時代以来奉納された御神宝が納められており、約900年間、戦乱にあうことなく式年造替の度に受け継がれています。この御神宝は現在49点あり、日本を代表する第一級の工芸品で、「毛抜形太刀」・「平胡簶」・「蒔絵弓」・「金鶴及銀樹枝」・「銀鶴及磯形」・「銅造狛犬」・「白磁獅子」など「若宮御料御神宝類」として国宝に指定されています。
若宮様の元から昭和5年に国により下げられた、「金鶴及銀樹枝」・「銀鶴及磯形」を復興し、令和4年10月28日の本殿遷座祭にて92年ぶりに若宮様の元に戻されました。
7. 春日大社は『遷宮(せんぐう)』ではなく『造替(ぞうたい)』
伊勢神宮では、別の場所に新しく本殿を建て替えるので『遷宮(せんぐう)』と呼び、春日大社は、本殿を動かさず同じ場所に造り替えるため『造替(ぞうたい)』と呼び方が違います。なので、春日大社では社殿ができるまでは神様方がお引越しをされています。
平成28年に『第六十年次式年造替』が行われた世界遺産『春日大社』ですが、60回を超えるのは『伊勢神宮』と『春日大社』のみで、若宮社は令和4年で43回になりました。
20年単位で修繕されていた若宮社でしたが、明治政府の管理で摂社になってからは20年ではなく不定期での造替になり、明治16年、大正9・10年、昭和25年、昭和39年と明治~昭和の約120年で5回、第42次御造替に至っては昭和39年~平成14年に行われるまで38年経過していました。
20年に1度に戻すべく令和3~4年に第43次式年造替が行われました。
春日大社・若宮社参拝企画
– ご奉賛のお願い –
120年ぶりに20年に一度の正式な形に戻る重要な第43次若宮式年造替、御本殿の御修繕・周辺の整備を始め、事業を推進・完遂を目指すにあたり200,000,000円という費用が見込まれています。
御本殿など文化財指定建造物には一部公費による補助が予定されておりますが、境内周辺整備、調度品類の調製、諸祭典の執行による御神徳高揚など多岐に亘り、神社予定経費を大幅に超えることとなります。
つきましては、第60次式年造替継続事業〔境内鎮座摂末社の御修繕〕の締めくくりとなるこの大事業を、お一人お一人の真心の結集により、無事成し遂げ、若宮様の御神徳の一層の発揚と、かけがえのない文化伝統を後世に守り伝えてゆきたく存じます。
・春日大社 奈良県奈良市春日野町160
TEL:0742‐22-7788 FAX:0742-27-2114
・御本殿参拝時間
3月~10月 6:30~17:30
11月~2月 7:00~17:00
※お札・御守り・御朱印等は通年9:00〜閉門迄
・特別参拝 700円 9時~16時(除外日がありますので、ホームページで確認してください。)
車でアクセス
まとめ
- 若宮様とは、第3殿アメノコヤネノミコト様と第4殿ヒメガミ様の御子神アメノオシクモネノミコト様
- 若宮社は、個人の願いを初めて聞いてくださった神様で、若宮社の神楽殿は、日本最古の神楽殿として重要文化財に指定され、奉納された御巫神楽は「社伝神楽」として継承されている
- 春日大社は同じ場所に社殿を造るので、造替という
- 若宮式年造替に関するイベントは、式年造替奉祝・八日間初参り・奉祝万燈籠・釣燈籠献灯体験・奉祝御朱印授与
- 若宮十五社めぐりには、若宮様を始め、人が生涯を送る間に遭遇する様々な難所をお守りくださる神々がおられる
最後まで読んでくださりありがとうございます。
皆様の人生がより素敵なものになりますように。
こちらの記事も読まれています。